昨年から私たちを襲った新型コロナウイルスは、身近な生活様式だけではなく、私たちの考え方にも影響を及ぼしています。就活も大きくオンラインへと移行し、WEBセミナーやオンライン上でのインターンシップ、面接が増えました。就職みらい研究所の調査によると、約44.5%の企業はコロナ禍が収束した後もオンライン形式の採用活動を継続すると回答しており、コロナウイルスは就職活動に長期的な変化をもたらしています。
この変化を学生側は一体どう考えているのでしょうか?また、これから学生にとって魅力的なのはどういう企業なのでしょうか?
昨今、学生が就職活動を始める時期は前倒しになっています。これは、多くの学生が参考にする SNS上での影響や、企業が優秀な学生をいち早く囲い込もうとする風潮からくるものです。さらに、コロナウイルスの不安定な状況の中で、早く内定を得て安心したいという学生も増えたようです。私の友人も、大学3年生になる前から将来の進路について考え始めていました。また、コロナウイルスによって経済的に厳しい状況になった企業が軒並み採用を中止したことで、自身の将来について早くから考え直さざるを得なくなった友人もいます。
さらに、コロナ禍は、新しい生活様式とともに、私たちに将来に対する危機感をもたらしました。この危機感から、学生はより「安定」を求めるようになったようです。同研究所の調査によると、2021年卒業の学生が就職先の決め手として一番に上がったのは、「自らの成長が期待できる」でしたが、前年度より約6ポイント減少しました。前回調査より増加がみられた項目は「会社や業界の安定性がある」で、約3.5ポイント増加していました。また、株式会社ZENKIGENが行なった調査によると、約35%の学生がコロナ禍によって企業の安定性をより見るようになったと回答しています。
目まぐるしく変化していくこの時代の中、学生は企業にこれからの成長や変化ではなく、何がどう変化しようと揺らがない安定を求めているようです。 企業の安定性には、その業界自体の特色や、業界内での立ち位置といった項目があります。そういった学生の中には、業界や会社の安定に加えて、自分自身でスキルを身につけることで安定を叶えようとする学生も多くなっています。
近年は、特定の会社でしか身につけられない知識や技術を身につけたいと考える学生よりも、どの会社でも応用できる経験を身につけたいと考える学生が多いため、応用もしやすく、転職にも有利な職種が人気になっているのかもしれません。
私自身も、転職を前提に将来の仕事を考えています。そのため、転職時に役立つようなスキル、経験や人脈などが身につくかどうか、またはそういった人材育成の環境が整っているかという点はよく考えるようになったと実感しています。
また、地方で働きたいと考える学生や、テレワークを重視する学生も増えています。これは私自身も実感していることで、私の周りで就職を機に上京したいという友人はほとんどいません。多くの友人は大学周辺や、地元での就職を希望しています。大学の授業のオンライン化や、リモート技術の急速な発達によって、自分の好きな場所で働くことや、人の少ない地方で働くことに魅力を感じる学生も少なくないようです。
これから採用活動を行なっていく中で、こういった点を企業説明会などではっきりと説明していくことが重要になるでしょう。さらに、説明会でいかに学生の不安を解消するか、ということは学生の志望度にも大きく影響してくる要素になっています。就職みらい研究所の調査では、入社後の社内研修の有無や、その後のキャリアパスについての説明と、その企業が求める人物像についての説明について企業の考える提供具合と学生が理解できたと考える度合いに大きな差があります。先に述べた通り、学生は自分自身がその会社に入ってどの位成長できるのか、またその企業の求める人物像に自分が合致しているのかをより知りたいと考えるようになっています。なぜなら、自身の成長が自分の将来をより安定させてくれるものであり、求める人物像を知ることが企業とのミスマッチを防ぎ、よりリスクの低い就職を叶えてくれるものだからです。私の友人も、また私自身も一つの企業に生涯勤め上げるというよりは、自分のライフステージやキャリアプランに合わせて働く場所や企業も柔軟に変えていきたいと考えています。
そのため、企業には事業内容や具体的な業務内容よりも、学生がその企業でどう成長し、働いていけるのかといった学生により焦点を当てたアプローチが必要になってくるかもしれません。
United World Inc
「誰もがどこでもはたらける世界を」
"Establish a World Where Anyone Can Work Anywhere"
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筆者:日高すみれ
アメリカのワシントン大学に在学中。社会学を専攻しながら人種差別、女性差別、LGBTQなどの格差問題が中心を学びながら、United Worldにインターンとして参加。
参考文献
就職みらい研究所「就職白書2021」(https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/hakusyo2021_01-48_up.pdf, 閲覧日:2021年4月28日)
PR TIMES「2022年卒 就職活動に関する意識調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000065.000035867.html, 閲覧日:2021年4月28日)
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